だぶんだぶん。
大丈夫なんだろうか^^;
あい初期ちっく風味だぶん。
拍手ぱちありがとうございました!!!
この男をどこかで見たことがある。
だが何処だっただろう。
もしかしたら気のせいかもしれないが・・・
(女だったら忘れることないんだがな)
「なあ、アンタのことなんて呼べばいい?」
「用があるのは体だけだろ。呼び方なんてどうでもいい」
「不便じゃないか。一緒に住んでいるというのに」
すると彼はややあってこう答えた。
「・・・Lだ」
あからさまな偽名にアイバーは呆れてしまう。
素性はおろか名前すら秘密とは。
このLと名乗った男。出会ったときから妙な違和感を感じていた。
誰かに追われているわけでも、厄介な事件にかかわっているとも思えないのだが。
まるで生きている感じがしないのだ。
これまでの経緯に興味がないわけではない。
ただ、聞けない。
聞いてはいけないような気がした。
ふと、ベッドの上で雑記をめくる彼を見る。
やせてはいるが、しっかりと筋肉がついてしなやかな肢体。
普段は前髪に隠されてる憂いを帯びた黒曜石。
それが熱で潤む瞬間。
何処をどうすれば悦ぶのか、全部知っている。
いや、体(それ)しか知らないのか。
夜の行為の印象が強すぎて気がつけば彼の薄い胸や項、裾からのぞく足首ばかり目が行ってしまう。
(なに考えてるんだか・・・)
思考を散らそうと煙草に火をつける。
つもりだったが、先ほど最後の一本を吸ってしまっていたことを思い出し、軽く舌打ちをした。
「ああ・・・・えーと。L?少し出てくるよ」
サイドボードに置いたコインケースを取り玄関に向かう。
しかし、無意識にポケットに仕舞ったつもりだったが引っかかって落とし、派手に中身をぶちまけてしまった。
見ればLが寛ぐベッドの近くまで転がってしまっていた。
なんとも決まりが悪い。小銭を取りに行ったら案の定クスクスと笑われた。
「あんた小銭入れ過ぎなんだよ。日本円か・・・10円玉21枚100円玉4枚・・・と5円1枚に1円3枚。」
「・・・っ!」
アイバーは息をのんだ。
驚愕、なんてものじゃない。戦慄だ。
この男は財布の中身をあらかじめ確認した訳じゃない。
自分が帰ってきてからコインケースはサイドボードに置いたし、ずっと彼はベッドにいてそれをずっと自分は見ていた。
それなのに財布の中身をぴたりと言い当てたのだ。
(音、だけで・・・か・・・?)
Lはなにごともなかったかのように雑誌に没頭している。
(一体何者なんだ??)
足が凍りついたように、アイバーはしばらくその場から動けなかった。